グローバル教育部講演会報告

2024.10.21

  • グローバル教育

 グローバル教育部では10月19日(土)に「日本を出て、世界ではたらく−国際機関の勤務から見えてきたこと−」というテーマで2名のゲストをお迎えして講演会を開催しました。
 まずご登壇いただいたのが本校卒業生で現在は京都大学を始めとして複数の大学で教鞭を執られている近藤哲生先生です。約50年振りの母校訪問とのことでキャンパスの風景がすっかり変わっていることに驚いておられました。在学中はサッカー部、軽音楽部に所属されていたそうです。大学ご卒業後に外務省に約20年、国連開発計画(UNDP)に約20年お勤めになり、外交官・国連職員というお立場で国際法を学びつつアフガニスタン・イラク復興支援、コソボ紛争における安全保障、東チモール人道支援に現場の最前線で関わったご経験をふまえて、国連など国際機関が求める人材とはどのようなものかについて解説して下さいました。本年3月に丸善出版より「人新世: 人類よ、絶滅を選ぶな (国際協力・国際機関人材育成シリーズ 7)」を上梓され、国連の活動を広めることに尽力なさっています。この本の表紙に国連総会で恐竜が演説している写真が掲載されています。気候変動を議論する2021年のCOP26会議の前にUNDPが公開した動画が元になっています。絶滅した恐竜が人類に向かって「絶滅を選んではいけない。化石燃料の消費に大金を費やす位なら貧困にあえぐ人々のために使ったらどうか。」と警鐘を鳴らします。この動画はYouTubeで字幕付きで公開されています。3分弱の短いものですのでぜひご覧いただければと思います。ご参考のためURLを下記に記載します。
 次に本年4月より海外大学進学相談カウンセラーとして就任なさった中山莉彩先生にご登壇いただきました。アメリカの学部および修士課程で芸術心理療法を修められた後にアフリカタンザニアに渡り孤児院でHIV遺児へのカウンセリングに関わりました。さらにインターンとして民族紛争最中のコソボを訪れ、窮状にあえぐ人々を目の当たりにします。日本ではあって当然の清潔な水、トイレ、ワクチン接種といったものがない現場をご経験なさり国際保健政策学を学び国連開発計画(UNDP)の一員としてアフリカチャドなどでメンタルヘルスと社会資本の関係性について研究を深められました。本校では海外大学進学という分野でご指導いただいていますが、国際開発学など日本の大学ではなかなか学べない分野もあり、国際機関でのキャリアも豊富にお持ちの先生ならではの知見をお持ちです。興味のある生徒諸君はアポを取った上で先生のオフィスを訪ねてみることをお勧めします。


在校生はご存知ないと思いますが既に退職なさった生物の長島先生に暗記するよう指導された知識が就職後に役立ったというエピソードもお話し下さいました。

人新世: 人類よ、絶滅を選ぶな (国際協力・国際機関人材育成シリーズ 7)
近藤先生の著書。「人新世」は「じんしんせい」または「ひとしんせい」と読みます。この表紙に写っている場面は以下のURLから動画をご覧いただけます。https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=aQkhbPfwzdI


中山先生は学部はカリフォルニア州、大学院はニューヨークで学ばれたそうです。